平成22年の真宗と世界1・『歎異抄をひらく』

 謹賀新年

 
 今年も、昨日・今日・明日と流れゆく時間の中で起きた

できごとを切り取って、親鸞学徒はどう考えるか、皆さんと

意見交換していきたいと思います。

 今日から3日間は、平成22年の、浄土真宗親鸞会を取り巻く

社会の動きを、大胆に予測してみます。


 今年から来年にかけて、親鸞聖人750回大遠忌の行事が、

浄土真宗各派で行われます。それに合わせて、「親鸞ブーム」が

起きているようです。

 書店に行ってみてください。

五木寛之津本陽など、著名作家の親鸞聖人に関する本が、

大々的な宣伝とともに置いてあります。

 ところが悲しいかな、これらの人は作家ですから、いわゆる

真宗学の専門家じゃありませんので、読んでみても、今一つ

教えが分からない。五木さんなどは、『歎異抄の謎』という

本を書くなど、「分からない」ことを売りにしています。


 では、真宗学者の本はないのか。

 高森顕徹先生著『歎異抄をひらく』が発刊されてから

1年10カ月、それまで年に12〜15冊の新刊が出ていた

歎異抄』解説書が、パタッと沈静化しているのです。

大遠忌前の出版チャンスなのに。

 これは、どうしてでしょう。

 それまで自由奔放に解釈なされてきた『歎異抄』が、

聖人ご真筆の『教行信証』を根拠に解釈なされた

歎異抄をひらく』の前に沈黙してしまったのか。


 一例を挙げれば、第2章の「ただ念仏して」の解釈。

「念仏さえ称えていれば助かる」とする真宗僧侶の根拠に

されていたこの一節が、『歎異抄をひらく』では、

信心一つの救いであることが明らかにされているのです。


 親鸞聖人の正しい教えが広まれば、その比類なき透徹した

教理に、日本の思想が変わるでしょう。すべての人間は、

「摂取不捨の利益」にあずかるという人生の目的を持った

かけがえのない命であることが分かり、政治も経済も

科学も医学も皆変わるに違いありません。

 そんな世の中になるよう、私たち親鸞学徒の大きな使命が

発動する平成22年であるに違いありません。