読書日記・その13 「時には頭を緩めると、いい考えが……!」
示唆に富んだ文章の多い『思考の整理学』(外山滋比古著)には、
考える素材を時には寝させることによって、いいアイデアが浮かぶことを
紹介しています。
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○どうして、「一晩寝て」からいい考えが浮ぶのか、よくわからない。
ただ、どうやら、問題から答が出るまでには時間がかかるということ
らしい。しばらくそっとしておく。すると、考えが凝固する。
それには夜寝ている時間がいいのであろう。
○ものを考えるに当って、あまり、緊張しすぎてはまずい。何が何でも
とあせるのも賢明ではない。むしろ、心をゆったり、自由にさせる。
その方がおもしろい考えが生れやすい。
○寝させておく、忘れる時間をつくる、というのも、主観や個性を
抑えて、頭の中で自由な化合がおこる準備をすることに
ほかならない。ものを考えるに当って、無心の境がもっともすぐれて
いるのは偶然ではない。ひと晩寝て考えるのも、決して、
ただ時間のばしをしているのではないことがわかる。
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『随行録』という本に、高森顕徹先生の次のようなお言葉が載っています。
外山さんの言うことは、これに通じているように思います。
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○ 肺腑を一突
あるキャンペーンの、スローガンをお考えの時のことである。
先生「〝なるほど! そういわれればそうだ〟と奮い立つものでなければ
ならない。
〝雨が降る日は天気が悪い〟というようなものではダメだ。
印象的な言葉で、できるだけ短くする。
もっと〝産みの苦しみ〟がなければならぬ。
苦もなく書けた文章は読みづらいし、楽に話した話は分かりにくい。
苦労したものが、読み易くよくわかる。
常に工夫をこらす。しかし、考えっ放しでもいけない。
壁にぶつかり悩んで悩んで七転八倒、ゆきづまったら気分転換も必要だ。
〝えーい、どうにでもなれ!!〟と庭へ出て、鯉にエサでもやっていると、
ひょっと浮かんでくることもある。
〝窮すれば通ず〟ではなく、〝窮すれば転ず、転ずれば通ず〟である。
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私も今晩、寝ながら、刊行物の見出しを熟成させます。
高森顕徹先生公式サイトはこちら。