読書日記・その13 「時には頭を緩めると、いい考えが……!」

 示唆に富んだ文章の多い『思考の整理学』(外山滋比古著)には、

考える素材を時には寝させることによって、いいアイデアが浮かぶことを

紹介しています。

*****************************************************************

○どうして、「一晩寝て」からいい考えが浮ぶのか、よくわからない。

 ただ、どうやら、問題から答が出るまでには時間がかかるということ

 らしい。しばらくそっとしておく。すると、考えが凝固する。

 それには夜寝ている時間がいいのであろう。

○ものを考えるに当って、あまり、緊張しすぎてはまずい。何が何でも

 とあせるのも賢明ではない。むしろ、心をゆったり、自由にさせる。

 その方がおもしろい考えが生れやすい。

○寝させておく、忘れる時間をつくる、というのも、主観や個性を

 抑えて、頭の中で自由な化合がおこる準備をすることに

 ほかならない。ものを考えるに当って、無心の境がもっともすぐれて

 いるのは偶然ではない。ひと晩寝て考えるのも、決して、

 ただ時間のばしをしているのではないことがわかる。

*****************************************************************

随行録』という本に、高森顕徹先生の次のようなお言葉が載っています。

外山さんの言うことは、これに通じているように思います。

*****************************************************************

○ 肺腑を一突

 あるキャンペーンの、スローガンをお考えの時のことである。

先生「〝なるほど! そういわれればそうだ〟と奮い立つものでなければ

ならない。

〝雨が降る日は天気が悪い〟というようなものではダメだ。

 印象的な言葉で、できるだけ短くする。

 もっと〝産みの苦しみ〟がなければならぬ。

 苦もなく書けた文章は読みづらいし、楽に話した話は分かりにくい。

苦労したものが、読み易くよくわかる。

 常に工夫をこらす。しかし、考えっ放しでもいけない。

 壁にぶつかり悩んで悩んで七転八倒、ゆきづまったら気分転換も必要だ。

〝えーい、どうにでもなれ!!〟と庭へ出て、鯉にエサでもやっていると、

ひょっと浮かんでくることもある。

〝窮すれば通ず〟ではなく、〝窮すれば転ず、転ずれば通ず〟である。

******************************************************************


 私も今晩、寝ながら、刊行物の見出しを熟成させます。









高森顕徹先生公式サイトはこちら。

   http://www.takamori.info/