読書日記・その7「私の知らない私〜自分の顔さえ分からない」
『○○○○の脳』といった本をたくさん上梓している脳科学者・
茂木健一郎さんの近著で、最も売れているらしいのが、
『化粧する脳』。
その中から、少し。私が私を知らないのです。
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ときには誰しも他者からの自分の評価に不満を覚え、相手の不理解に
心を痛めることがるかもしれない。「わたしのことを誰もわかってくれない」と。
でも、ほんとうの自分の姿など、誰がわかっているだろうか。ほんとうの
自分とはなんなのだろう。自分の意識とは、何によってかたちづくられるのか。
こうした自己の認識をめぐる問題には、底がない。第一、あなたには
あなた自身の顔すら見ることができないのだ。ほんとうの自分の姿など
わかるはずもない。
自分にとっていちばんの死角は、自分の顔である。
日夜、他人に曝しておきながら、自分自身ではその顔を見ることが
できない。
鏡を使って確認することはできるが、それは「鏡像(左右が逆転
している像)」であり、ほんとうの顔の左右が入れ替わった像に
他ならない。試しに鏡像を反転させて「正像」をつくって「鏡像」と
見くらべてみればよくわかる。
人間の顔は完全な左右対称ではないので、「正像」と「鏡像」には
ギャップが生じる。(中略)
多くの人が自分の「正像」にはどうしても違和感を覚えるだろう。
「いつもの自分ではない」と。