脳死はヒトの死か

 国会で、子供からの臓器摘出をどうするか、揺れているようですね。


 臓器移植患者団体連絡会などは、「脳死」を人の死とする「A案」を

支持しています。WHOなど、世界の流れもその傾向です。

このほうが、移植手術はしやすいですからね。

 しかし、新たに提出された「D案」は、日本の現行法と同じく、臓器移植を

もって人の死とするという立場のため、15歳未満の子供の場合、移植手術を

決断した親がわが子の死を承諾することになります。これでは、現状を変えられず、

重症の子供への移植が進まない、と、移植推進派が猛反発しているのです。


YAHOO!ニュース より

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090514-00000012-cbn-soci


 移植しか治療方法のない患者やその家族にとっては、生きるか死ぬかの大問題で、

お気の毒ではありますが、脳死を人の死とした場合、まだ心臓が動いていて、

体温もある患者に、移植のメスを入れることになります。

 また、脳死が人の死という考えとの整合性を図れば、胎児の場合、脳が形成され、

脳波を出し始めるまでは人でない、ということになります。受精卵ができてから、

26〜28週目にならないと、脳波は出ないそうですから、それまでにES細胞を

取り出しても、殺人にはならないことになります。


 私たちの生命の行き先を考える、いい機会ではないでしょうか。

高森顕徹先生は、『白道燃ゆ』に次のように教えられています。


****************************************************************************

◎ 殺人狂は誰か

 ある銀行の重役の兄が、とても善良な人で世間から尊敬されていたが、

少しも仏法を聞かずに死んだ。

 その後、重役の妻君が難産のおそれがあるというので、八カ月すぎた胎児を堕胎した。

 その朝、重役の枕辺に、死んだ筈の兄が飛びついてきて、「俺を殺す奴がいるから

早く助けてくれ」と叫んだ。

 夢がさめて、直ぐ自動車で病院へ行ったが、すでに手術の後だった。アルコール漬けに

なった胎児を眺めてガク然としたという話を聞いた。

 母体保護法の名のもとに、人工中絶は激増している。闇から闇に葬られる赤ちゃんは

年間三百万は下らないといわれている。

 これは一日、五、六千人。二十秒間に一人殺されていることになる。妊娠一カ月の

胎児は、耳かきですくえる程小さいが、もう丸い目と三角形の口を備えている。

 妊娠四カ月ともなれば、腕の長さはピース一本位で頭の毛も生えて、もう立派な

赤ちゃんである。そして、生まれ出る日を胸おどらせて待っているのに、親の欲から

殆ど形をとどめない姿でカキ出され、その多くは汚物処理場に捨てられるのである。

 数億の精子の一つが、卵子と結合して胎児となって身籠るのだから、宝クジどころ

ではない生命である。数億分の一の幸福な生命を、闇から闇へ葬るのだ。

 現代の妊娠中絶は、貧困とか、母体の病弱を理由とするものよりも、多くは

性愛遊戯の結果が圧倒的である。だから胎児を殺すことへの罪悪感など微塵もない。

世を挙げて殺人狂のハンランである。

 男にしてみれば、性のハケ口の遊郭がなくなった。女はセックスの解放で、

処女の価値などものの数ではなくなった。赤ちゃんができたら簡単に、おろすことが

できるとの安心感も手伝い、性の倫理は益々乱れてゆく。

 動物、取り分け人間の生命がどうして尊いのか。地球上に幾百万、幾千万種類の

生物がいるが、どうして私は牛や馬に生まれなかったのか。私は、どうして蛇や

サソリに生まれなかったのか。一つ歯車が狂えば何に生まれていたか分からない。

想像もつかぬ複雑な条件が成就して、初めて人間に生まれたのである。

 世間では、赤ちゃんは男女の性愛のみで、作られる位に思っているが、性愛は

単なる条件(縁)にすぎない。性愛を条件として、かけがえのない生命が

引き出されるのである。

 法律上如何に堕胎が許されているにしろ、胎児を殺したことには間違いない。

 この恐ろしい罪悪に驚かない者は、最早、人間の皮を被ったケモノである。

 いや、胎児の命よりも自身の生命の尊さが分からない者なのだ。

 こんな人々に人権尊重など、語る資格がどこにあるだろうか。

 見よ!! この社会の地獄相を!

 因果の大道理は厳然として動かすことはできない。自己の蒔いたものは、

必ず自己にかえるのである。

 目連尊者の母親は、欲の為に餓鬼道へ堕ちて苦しんだが、我々は欲の為に

我が子を殺し、無間地獄へ沈むのだ。

 一刻も早く、この一大事に目ざめねばならない。

***************************************************************************


高森顕徹先生公式サイトはこちら。

  http://www.takamori.info/