新型インフルエンザ狂騒もいつまで……

 富山市にある富山18番館という所で、勉強会がありました。

高森顕徹先生監修の『なぜ生きる』を拝読し、

親鸞聖人が、全人類の苦悩の根元だと断言なされる

「無明の闇」とはどんなものか、教えていただきました。


「死んだらどうなるか分からない、死後に暗い心」が無明の闇です。

ところが私たちは、自分が死ぬ、という事実を忘れて生きています。


 新型インフルエンザの大流行に、世界中が騒然とし、何とか死から

逃れたいと思います。実際に感染した人は、大変お気の毒です。

 ところが、これが収束し、自分が無事だったら、どう思うでしょう。

「ノドもと過ぎれば熱さを忘れる」ともいいます。

 ケロッとする自分が、想像できるじゃありませんか。


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 死は万人の確実な未来なのだが、 誰もまじめに考えようとはしない。

考えたくないことだからであろう。 知人、 友人、 肉親などの突然の死に

あって、 否応なしに考えさせられるときは、 身の震えるような不安と恐怖を

覚えるが、 それはあくまでも一過性で、 あとはケロッとして、

「どう生きるか」 で心は埋めつくされる。 たとえ、 自分の死を百パーセント

確実な未来と容認しても、 まだまだ後と先送りする。

「今までは 他人のことぞと 思うたに オレが死ぬとは こいつぁたまらぬ」

と死んだ医者があったそうだが、 ながめている他人の死と、 眼前に迫った

自己の死は、 動物園で見ている虎と、 山中で出くわした虎ほどの違いがあると

いわれる。

”体がふるえるような、 不安や恐怖”といっても、 所詮は、 想像している死

であり、 襲われる恐れのないオリの中の虎を見ているにすぎない。

山中で突然出会った猛虎ではない。

                      (『なぜ生きる』より)

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          高森顕徹先生公式サイトはこちら。

           http://www.takamori.info/