阪神大震災に打ち克った人

 26日の高森顕徹先生ご法話富山県射水市親鸞会館)で、

感動的な再会がありました。

 鳥取県から参詣した男性Tさんは、平成7年の阪神大震災当時、

神戸製鋼に勤め、神戸市に住んでおられました。震災で心身ともに

痛手を負い、しばらく離れておられましたが、親鸞学徒として再び

力強く聞法を始められたのです。





(写真は、親鸞会館の「学徒の丘」のシバザクラ



 私は、平成4年ごろ神戸にいて、働き盛りの男性にもかかわらず

仕事の合間を縫って聞法するTさんを、素晴らしいなあと

思っていました。

 それが、私が異動で神戸を離れてから、1月17日早朝、

あの震度7の大揺れが神戸や淡路島を直撃し、わずか20秒の

揺れで、情緒ある港町が壊滅したのでした。死者6400人、

そのほとんどは、最初の衝撃による圧死といわれています。

「そろそろ起きないと……」とうつらうつらしていたTさんも

飛び起き、マンションも会社も半壊、仮設生活を余儀なくされた

のでした。盗難にも遭われたそうです。

 やがて鳥取へ戻られ、14年後の今、再び聞法を始められました。


 仏法を聞いていれば、病気にならなかったり、災難が来なく

なったりするのではありません。生身の体を持ち、火宅無常の世界に

住んでいるのですから。

 そんな人生の苦難が襲ってきても、それを乗り越えて生きる力は、

「何のために生きるのか」という人生の目的を知るところから

生まれます。震災後、多くの人が孤独死したことを考えると、

この生きる目的を知っていれば……と思わずにおれません。

 復興といっても、やがてはまた崩れるものを建てただけです。

心を弘誓の仏地に樹てる真の幸福に向かって歩み始めたTさんこそ、

阪神大震災に打ち克った人でしょう。





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