座敷牢……現代の『王舎城の悲劇』

 少し前のNHK『クローズアップ現代』で、悲惨な老人ホームの

実態が放映されていました。

 身寄りがなく、起居もままならない高齢者が、役所を介して

入居したにもかかわらず、その老人ホームが悪質業者で、わずか

8畳の部屋に男女の別なく3人押し込め、風呂にも入れず、

1日たった200円の食事だけ与える。経費を極限まで切り詰め、

入居者の生活保護費と国からの介護報酬で儲けを出していたと

いうのです。


 ある男性は、「まるで、金を払って入る、現代の姥捨て山」と

涙ぐんでいました。しかし、それまで住んでいたアパートも

引き払っているから、出るに出られません。

 家族を養い、日本の高度経済成長の歯車となって働いてきたのに、

晩年にこんな仕打ちを受けねばならない絶望感は、想像に余り

あります。


 自宅の敷地に別棟を用意し、そこに老人を押し込める〝座敷牢

というのもあります。テレビくらいは置いておくが、

「おばあちゃん、そこから出てこんでいいよ」

と半ば軟禁状態。三度の食事は嫁が運ぶが、一人むなしい食事の

最中にも、母屋からは一家団欒の笑い声が聞こえる。優しかった孫と

一緒に食事もできない、というのです。


 約2600年前、お釈迦さまがご在世中、インド・マガダ国で

王舎城の悲劇』といわれる一大事件がありました。『観無量寿経

に説かれています。凶暴なアジャセ太子によって、

父のビンバシャラ王、母のイダイケ夫人が投獄されるのです。

 王様一家に起きた、この親殺しの一大悲劇は、決して昔のインドの

話ではありません。現代日本でまさに、親を牢に入れているじゃあ

ありませんか。


 親がいなければ、私が生まれ育つことはなかった。そんな私の

命は、仏法を聞くためにあります。仏縁という一点において、

親には大恩があるのです。

 その親を虐待するは、五逆罪といわれる無間地獄行きの大罪です。

心すべきことですね。






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