捨てられない幸せ

 今年もはや1カ月が経過し、新しい月を迎えましたが、不況の波は

まだまだこれから、という予測が出ています。昨年10月から

今年3月までに、失職したか、失職する見通しの派遣社員

正規雇用者は、全国で約12万5千人とか。この寒空に、

住む家さえ失う人もいることは、各種の報道で取りざたされている

ところです。


 世界的な金融危機の影響は、かのドバイにも及んでいるようで、

朝日新聞』1面には、「バブル崩壊」とありました。

ビル建設の工事中断や規模縮小で、外国人労働者の解雇が続き、

新しい高層ビルが立ち並ぶ街の中心部のすぐ近くの地区で、

非正規の外国人労働者が集まり、スラム化しているとのこと。


 儲かっている時は頼りにされても、困窮するとクビを切られる。

この世の幸せは、遅かれ早かれ、私を捨てていくもののようです。


 親鸞聖人のお言葉が流暢な文体で残されていることで有名な

歎異抄』の第1章には、


「『弥陀の誓願不思議に助けられまいらせて往生をば遂ぐるなり』

と信じて『念仏申さん』と思いたつ心のおこるとき、すなわち

摂取不捨の利益(せっしゅふしゃのりやく)にあずけしめ

たまうなり」


とあります。ここで人生の目的は「摂取不捨の利益」だと開示されて

います。「利益」とは、幸福のことですから、摂め取って(おさめ

とって)捨てられぬ絶対の幸福に生かされることだと言われて

いるのです。


 すべて私を裏切り捨ててゆく無常の世にあって、捨てることのない

幸せこそが、「なぜ生きる」の答えですよね。

 私の仏教の先生である高森顕徹先生の『歎異抄をひらく』に

詳説されています。



           高森顕徹先生公式サイトはこちら。

             http://www.takamori.info/