悪口の代償

「サイバー侮辱罪」の是非で、韓国の国会が大混乱しているようです。

 国民的女優のチェ・ジンシルさんが昨年10月、ネット上の

悪質な書き込みが引き金となって自殺しました。それ以前からも、

美容整形疑惑などの辛らつな中傷を原因として、有名人の自殺が

相次いでいたため、政府は、実名制を強化するなどの「サイバー侮辱罪」を

制定し、ネットでの発言を規制しようとしています。

 すると野党が、これに猛反発。全うな政治批判も規制の

ターゲットになり、「言論の自由」が侵害されるというのです。


 ここで親鸞学徒は、政治的判断の前に、誹謗する人を憂えずに

おれません。大したことない話題でも、スターへのやっかみか、

「コンチクショー」と思う。非難の声に苦しむのを、ほくそ笑んで

見てみたい。こんな、ネタミやソネミの心を「愚痴」といいます。

 さらには、罵詈雑言を並べれば、「悪口」(あっこう)と

なります。これらは、仏教で教えられる「悪」です。

 こんな中傷の担い手は、自宅やネットカフェのパソコンで、

大蛇のようにとぐろ巻く醜い心を文字にして書き込みながら、

一人、悦に入っているのでしょう。


 しかし、たとえ密室で、だれの目にも触れられずにやった行為でも

その代償は必ず自分が払わねばならないことを教えられているのが、

仏教の「因果の道理」です。

「因果」とは、原因と結果。

原因は私たちの行為であり、結果は運命といってもいいでしょう。

「道理」とは、いつでもどこでも変わらないことです。


 原因と結果の関係は、

○善因善果……善いことすれば、よい結果が返ってくる

○悪因悪果……悪いことすれば、悪い結果が返ってくる

○自因自果……自分のやった行いは、自分の運命を決める


 相手が死にたくなるほどのひどい書き込みをした人を特定し、

問い詰めれば、悪いことをしたと後悔しているでしょうか。

今日書いた中傷は、ネットの海を流れていき、やがて跡形も

なくなるように感じて、せいせいしているかもしれません。

 でも、今日やった行為は、必ずその人自身の未来に結果を

残すのです。早ければ今晩か明日、現れるかもしれません。

「悪因悪果 自因自果」ですから。


 こんな道理を知らないところから、言いたい放題の無法地帯が

出現するのではないでしょうか。

 これは、お隣の国だけのことではありません。また、このテーマを

考えてみたいと思います。








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